農大の楽単? 源流大学の実学実習とは

多摩川源流大学とは、東京農業大学が行う『人材育成プロジェクト』の名称です。環境省の令和元年度『環境教育体験優良事業』にも選ばれており、まさに農大の『実学主義』を体感できる授業となっています。

今回はガイダンス2として実習では何が学べるのかと、どのような地域と関わっているか簡単にご説明したいと思います。

第1回目のガイダンスを見る→リンク

注意!
*今年度(2020年度)に関しては授業内容が変更になる可能性があります。
*授業開始日などについては農大の公式サイト(https://www.nodai.ac.jp)をご覧ください。
*情報はすべて2020年5月11日現在の情報です

履修の手引き修正情報
履修の手引きP18にある特別講義Bコース、Cコースの開講曜日に関して訂正があります。
Bコース基礎コースは「水曜日」開講、Cコース応用コースは「火曜日」開講です。
手引きでは逆になっているので、訂正いたします。(2020.4.28修正)

大学はRPG
大学生になると、高校とは違い、自ら授業を選び、学びにいかなくてはいけません。自分の進路や将来の夢に向かって、興味のあること、なんでもいいのですがある程度の目標を決め、それに必要な技術や知識を習得していくのです。ゲームのRPGみたいなもので、目標に向かって武器や装備を得ていく感じに似ていると思います。

こんな感じ

特に源流大学では「地域づくり」や「食」・「農」について学んでいただくことになるのですが、これらは様々なことを知っていなくてはいけません。そのためには知識の習得と実践と研究の繰り返しが必要になります。RPGでいうところの「村人に情報を聞く」「敵を倒す」「クエストを達成する」というのと同じで、武器や技を覚え、レベルアップしていくことが必要です。

一つの問題を見てもこんなに複雑!

しかし、実際には大学ではこのような体験をする機会は減少している傾向にあります。特に東京農業大学の世田谷キャンパスは都心にあるので、農業や地域に触れる機会がとっても少ないのです。そこで、源流大学では、世田谷で学んだ知識を、実際の地域で体験できる「実習」を大切にしています。

実際に畑で学ぶ

実習で何を学ぶか
圃場ではない、実際の地域にいくことで、社会の仕組みや人々と触れ合えるだけではなく、長年培ってきた知恵や技を体感して学ぶことができます。
例えば、皆さんは耕作放棄地という畑や田んぼを知っていますか?

人の手が入らなくなってしまった畑

耕作放棄地とは、何らかの理由で人手が入らず放置されている畑や田んぼのことで、近年全国各地に増えて問題となっています。耕作放棄地が増えると、景観が悪くなったり、土砂の流出が起きたり、鳥獣害が起きたりと様々な問題が起きてしまいます。

授業の中で、地域の問題として地元の人からこの話を聞くと、大学生の多くは地域づくりの計画書に「耕作放棄地の解消:耕作放棄地は再び耕作し畑に戻しましょう」と書きます。これが決して悪いことだとは思いません。では、そこで、実際の畑に行ってみましょう。

山梨県小菅村橋立地区

上記の写真は山梨県小菅村の橋立地区の畑で、山に張り付いたような畑から地元の人に「掛け軸畑」と呼ばれています。土壌の流出や作業効率などが公平になるように土地が縦に分けられており、本来上の林になっている部分も全て畑だった場所です。しかし、農業従事者の高齢化などにより、どんどん上の方から耕作放棄されています。

こんにゃくを育てています

実際に畑の上にみんなで登り、畑を見てもらいます。この畑は急なところで傾斜が40度くらいの斜面で、登るのだけで一苦労です。しかも、土は礫が多く足が取られて歩きにくく崩れていきます。大学生でもハーハーと息切れする場所です。機械を入れることも難しく、道具や肥料は何往復もして運ばなくてはいけません。しかもこの土地で農業に従事している人の多くが70代以上です。

耕すだけで大変・・・

長年放棄された畑を元に戻すのは、草の根や石などもあり、そう容易ではありません。無限に根っこと石が湧いてきます。小菅村の畑は特に条件が厳しいですが、全国の耕作放棄地の多くが「人の手が入りにくい条件の悪い場所」からこのような状態になっていくのです。

緑肥の麦なども植えられている

実感し、現状を知ることができた学生達にあらためて問います。この土地の耕作放棄地を解消するにはどうすればいいか。「無理だからあきらめて他の対策をしよう」 という学生もいれば、「こういう作物ならどうだろう」とか、「こういう場所に入れる農業機械がいるな」など、それぞれの分野で再び考え始めます。ここからが本当の大学の授業のスタートです。このような体験や思考を大学に持ち帰り、再び学びや研究を進めていくことで、より良い研究につながるのです。

様々なアプローチで考えることが重要

私たちを受け入れてくれる場所
そんな大学生の学びのために、フィールドを快く貸して、学ばせてくれるいくつかの地域をご紹介したいと思います。
もちろんここで紹介した以上に、様々な地域がサポートをしてくれています。いつも本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

山梨県小菅村

源流大学のメインフィールドでお借りしているのが、山梨県小菅村(こすげむら)です。小菅村は多摩川の上流にあり、多摩川流域という範囲で地域をとらえた際、とても重要な場所である源流域のひとつです。

都会から2時でこの別世界

人口は720名(2020年4月現在)ほどの自然豊かな村です。村の9割が森林でそのうち3分の2が東京都の水源涵養林(すいげんかんようりん)という、美しい天然林です。多くの植物、そして動物、昆虫などの自然、そして人々の紡いできた文化が色濃く残っている土地です。

文化も多く残る

人々はやさしく、明るく、気さくな方が多く、いつも私たちを暖かく迎え、そして全力でサポートしてくれます。村には源流大学が授業で使用できる白沢校舎というかつて村の小学校だった場所を利用した施設があり、そこには私たちの授業をサポートしてくれるスタッフも常駐しています。農大の卒業生も多く移住しており、たまに授業を手伝ってくれたります。

白沢校舎

フィールドは村全部、先生は地元の人、ということで、実際に実習に行くと村民が講師となり農業や林業、文化、源流体験など暮らしの全てを教えてくれます。
村には狩猟をしている方もいて、そのような話を聞くこともできます。

畑や

森林も

源流体験

猟も(写真は猟犬)

フィールドは他にも!
基本的にはこのメインフィールドである小菅村に行き実習を行ってもらうことで単位が習得できます。これ以外にも、流域活動ということで、小菅村以外の地域での体験実習も授業として認められています。例えば、岩手県一関市では冬に畜産実習があり、種付けから出荷まですべての工程を体験したり、農家民泊をしたりすることができます。

今年はかんじき体験もしました!

その他にも、多摩川の流域で活動する市民団体や、神奈川県伊勢原市の地域づくり、群馬県川場村での活動、高知県津野町、佐賀県みやき町などそれぞれの地域をフィールドとし、地域の人たちと一緒に学生達の受け入れを行っています。
地域によって課題も、文化もシステムも違うので、できるだけ多くの地域を紹介したいなと思っています。また、今後も増える可能性があるので、それはその都度皆さんにご紹介します。

本年度は緊急事態宣言延長などにより実習地に行ける日程が確実ではありません。少しでも多くの実習に参加できたり、フォローアップできるように準備をすすめておりますが、先行きが見えない状況です。履修者にはあらためて実習についてお知らせいたしますので、もう少々お待ちください。

いろいろな地域で学ばせていただく

ありがたいことに「農大生にぜひ地域に来てもらいたい」という地域は多く、行った先でも学生の一生懸命な姿をみて、また来て欲しいという要望も多くあります。全国の各地域には農大の先輩も多く、皆さんを様々な形で助けてくれます。この授業を履修した学生の多くもいろいろな地域に就職し、時には源流大学の授業に登場してくれます。

皆さんが私たちの1番の成果

ガイダンス2回目終了
2回目のガイダンスでは、実習で学べることや、フィールドについて簡単にご説明しました。この授業は「楽単」です。しかし、「楽に単位が取れる」という意味ではなく「楽しみながら単位が取れる」という意味です。実習や座学など通常の授業より大変な面もあるかと思いますが、それ以上の楽しみや学びがありますので。ぜひ皆さん受講してください。
第3回目のガイダンスでは、一つ一つの実習の内容と持ち物や服装についてお知らせしたいと思います。

皆さんお疲れ様でした

ガイダンス資料として今後お配りする源流大学のオリジナルてびきもPDFにて公開しております。ぜひ参考にしてみてください。

源流大学のてびき→20200511

第3回目のガイダンスへ→4月29日公開予定

授業を受けた卒業生の声はこちらの記事をどうぞ
http://genryudaigaku.com/archives/456

実習の様子はこちらの記事をどうぞ

→「若い男女がキノコ達人を目指す」
 http://genryudaigaku.com/archives/273

→ひたすら芋を植える日曜日は幸せか
http://genryudaigaku.com/archives/310

→源流の水はなぜあんなに冷たいのか
http://genryudaigaku.com/archives/770

→都内で村のPRをした話
http://genryudaigaku.com/archives/1724

注意!
*今年度に関しては授業内容が一部変更になる可能性があります。
*授業開始日などについては農大の公式サイト(https://www.nodai.ac.jp)をご覧ください。
*情報はすべて2020年5月11日現在の情報です。

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スタッフ

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