「かんじき職人」になるイベントに参加する

人は誰しも安定した道を歩きたい生き物です。不安定な道にもやりがいを感じるかもしれませんが、やはり安定しているという事に勝るものはないのです。手に職をつけて安定した道を歩きたい、そんな想いを叶えるためにかんじき作りを学んで、雪上を歩けるイベントに参加してきました。

雪の上をあるく
冬になると東北を中心として多くの雪が降る日本。冬景色は本当に美しいものです。白が覆い尽くす景色は神秘的ですらあり、誰も足跡を付けていない雪上を歩くと何とも言えない快感を覚えます。

雪景色が美しい

何処までも歩き続けたいと思わせる雪景色ですが、ひとつだけ問題があります。それは「雪で沈んですすめない」ということです。私が山形に行ったときは屋根まで雪が積もり、歩くどころか沈むという表現が正しかったように思います。
このままでは雪まみれになって雪だるまになりそうです。

だから雪かき!

そこで、人々は自分たちが住む道路の前は雪かきをし、安全に歩けるようにします。東北や北海道など雪深い地方では、これが毎朝の日課になっていたりします。考えるだけでも大変です。私だったらもう春になるのを待とう、と思うかもしれません。

疲れる!

ただ、山道を歩くときなどはいちいち雪かきをして道を作るわけに行きません。そこで活躍するのが「かんじき」なのです。かんじきがあれば、何処にでも行く事が出来ます。

そこでかんじき!

かんじきとはなにか
かんじきとは、泥や雪など足元が安定しない場所を歩くための民具で、自然の木やツルなどを使って作られます。履物の上から履く事で、接地面を増やし体重を分散するので、沈みにくくなるのです。

色々なかんじきがあります

かんじきと言っても、輪っかになっている輪かんじき、爪のついている爪かんじき、板かんじきなど様々です。海外ではスノーシューと呼ばれています。ちなみに昔は日本の輪かんじきは軽くて持ち運びが楽、急傾斜に強いのが特徴で、スノーシューは輪かんじきよりは少し重く、平地向き、浮力は輪かんじき以上という使い分けだったそうです。

猟師さんなどが使っていた(写真はイメージです)

ギルド「かんじき職人」
現在ではアルミで軽量化されたスノーシュー、かんじきが山道具屋さん等で売っていて、冬の山歩きなどを楽しむ方も多くなっています。でもせっかくなら昔ながらのかんじきを習得したいということで、岩手県一関で森林プログラムのモニターツアーとして開催することにしました。暖冬の影響で駅前に雪がほぼないので心配ではあります。

一関市に来ました!

岩手県一関市では現在、多くの人に一関の森林を楽しんでもらうためのプログラムづくりを行っています。私達も多くの人に楽しんでもらうためにお手伝いさせてもらっているのですが、そこで地域の森林プログラムや技術をひとつの職業をギルドと位置づけ、それを体験してもらう事で森林や地域のことを横断的に知ってもらう取組を提案しています。

プログラムをギルドとしている

ギルドとは中世から近世にかけて、ヨーロッパの都市部で結成された職業別組合のことで、ゲームなどで知っている方もいるかもしれません。プログラムに単体で参加してもらうよりも、ゲーム性をもたせて連続して参加してもらうために、スキルアップやレベル、関連するギルドなどを書いたカードをそれぞれのプログラムごとに作成しています。

参加するとカードや巻物がもらえます

かんじきをつくる
今回は長年一関の体験プログラムをコーディネートしてきたいちのせきニューツーリズム協議会さんと本寺地区の皆さんをギルドマスターとして、プログラムをすすめていきます。教えてくれるのは、かんじき名人で、実際に猟などで使っている地元のお父さん達です。

地域のお父さん達がギルドマスター

まずはかんじきの土台となる輪っかの部分を作っていきます。地域によって材料は違うのですが、一関ではサルナシやクロモジを材料とするそうです。私はクロモジで作ったのですが、さすが高級爪楊枝の材だけあって、いい匂いがします。

いい匂い!

2本の材をあわせて、足のサイズに併せて輪っかを作ります。今回は爪かんじきという滑り止めつきのかんじきを作るので、そのスペースにある程度の隙間が出来るように外側と内側の木を削っていきます。これがめちゃくちゃ大変で、これがマスターできれば7割は習得出来たと言っても過言ではありません。

設計図

難しそうです

削っていきます

めちゃ難しい

できました!

まだ右足だけなので、左足も同じように削っていきます。完成したらフジヅルで縛っていきます。この時締めすぎると爪が入らないので気をつけてください。
フジヅルも山で採ってきた物を削り、前の晩から水で濡らして柔らかくしておきます。

二つを縛っていく

できた!

次に爪を削ります。爪の材は何でもいいのですが、縦15cm、横10cmくらいの木の板をナタで削ります。溝を付ける事ですっぽり抜けるのを防いでいます。

抜けないようにつけます

はめたら完成!

あとは足とかんじきを縛るためのツルをかんじきに装着します。つま先を入れる部分をつくり、履物の下を通るようにツルを渡して完成です。自分で作ると愛着もわき、何処でも歩けそうです。暖冬だけど、雪はあるのでしょうか。

頭を使います

できました

雪山を歩く
雪を求めて、いちのせき健康の森に移動し、スキー場横の林を案内していただけることになりました。さっきまでは雪が全然なかったので焦りましたが、無事に雪にありつけました。ありがとう雪。ありがとうスノー。

結ばないことで脱ぎやすくしておきます

かんじきは雪がにあうね!

早速スタッフ案内のもと自作のかんじきで歩きます。さくさくと爪が雪にささるので転ける心配もありません。後は自分のかんじきを信じるだけです。どうか壊れないでくれと。

雪の上もさくさく

かんじきのおかげで雪深い所まで行けるので、冬の森の中で自然観察が出来ます。葉が落ちて森の中が明るいので、歩いていても怖くなくて気持ちいいです。ずんずん歩いていきたい気持ちになります。

森に入るぞー

私はどこにでもいける

おもいのまま、ありのままに!

サルノコシカケに

座ることも出来る!

ちなみにかんじきを履いている場合と、履いていない場合で比べてみるとその差は一目瞭然。かんじきを履いていないと、ひどい時には太ももまで沈んでしまうので、歩きにくいです。かんじきなら安定してサクサク歩ける、今なら山手線一周できそうです。毎日でも履いていたいけど、雪がない所では邪魔なだけなので、やはりそこは適材適所ですね。

ないと沈むのよ

「かんじき職人」マスター!
自分で作って、それを使って雪深い山の中を歩く事が出来たので、かんじき職人をマスターできたと言ってもいいのではないでしょうか。作る時だいぶん先生の力を借りてしまいましたが、自分でも直しながら使って、もっとマスターしたいと思います。今回かんじき職人になれたので、次はクラフト職人のギルドを体験し、ゆくゆくは猟師になりたいと夢が膨らみました。

たのしかったー!

完了シールももらいました

撮影協力
岩手県一関市→https://www.city.ichinoseki.iwate.jp/

いちのせきニューツーリズム協議会→http://ichinoseki-newtourism.com/

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矢野加奈子

矢野加奈子

多摩川源流大学担当のスタッフです。美味しいものと楽しいこととズゴックが大好きな平均的な人間です。 源流大学で「ちゃの」と言えば私のことです。名字の「やの」とは関係ないけど。

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