フリー素材の宝庫! 春の里山歩きを楽しもう

人は誰しも春になると外に出たくなるものです。飛んだり跳ねたりしながら外を歩くと、心もウキウキして生きている喜びが感じられます。

歩きやすく、歩いていて楽しい道なら『里山』がいいよ、と教えてもらったので、里山歩きの専門家に話しを聞き、実際に歩いてみることにしました。里山はリアルなジブリパークのような場所で、どこを撮っても絵になるフリー素材の宝庫でした。

日本人よ、里山に行こう!
そもそも里山とは、里に近い林や森で、人間が生活している中で生まれた風景です。薪炭林と呼ばれる薪や炭などの燃料をとる雑木林や、食物を生産できる田んぼや畑、そこに集まる生き物や植物が生息する場所など、見所がたくさんあるテーマパークのような場所です。

だって、何でも揃っているんだもの

多くの人が「なんでかわからないけど懐かしいな〜」と感じる風景のことを原風景と呼ぶのですが、里山に来ると、これを感じる日本人は多いものです。新宿生まれ、渋谷育ち、クラブのビートが俺の友達という方でも、懐かしい! と感じてくれるのではないでしょうか。それは、私達日本人のDNAに刷り込まれているからなのかもしれません。

ほらね、日本人のDNAにくるでしょ

そんなナチュラルテーマパーク里山を歩いてみたい! と思ったのですが、どこにあるのかも、どうやっていくのかも、そもそも入っていいの? ということもわからない人多いのではないかと思い、専門家にお話を聞くことにしました。

里山歩きの専門家 東京農業大学麻生恵名誉教授

東京の奇跡
麻生先生は長年自然公園、農村などの景観に関する研究を行ってきた先生で、里山歩きに関しても一般の方向けに講座を行っているほどプロフェッショナルなのです。例えるならばスティーブジョブスにiPhoneの使い方聞きに行くみたいなものです。

先生、里山の歩き方教えてください


先生、里山歩きに挑戦したいのですが、そもそも里山ってどこにあるんですか? 東京の近くにもありますか?

里山は正確には里地里山といって、原生的な自然と都市の間くらいにある場所で、人が住む集落とその周辺の農地や草原など農林業に関わる場所で構成されている場所なんです、もちろん東京にもあるよ

大都会東京さん、さすがなんでも持ってる!

有名なのは町田市周辺にもひろがる『多摩丘陵』という所だね。行くとわかると思うけど、東京にもこんな田園風景が残っていたのか! と感動するくらいの風景が広がっている場所で、まさに奇跡的な場所だと思うよ

奇跡! いいですね! 東京の奇跡!

そう、都心から1時間弱でアクセス出来る位置にあるんだけど、地元の人やボランティ団体など多くの人が大切に守ってきた場所なんだ

里山って人が暮らしていたり生産している場所だと思うのですが、勝手に入っていって怒られたりしませんか?

もちろん人の家とか私道、田畑に入っていくのはだめだけど、ちゃんと里山に親しんでもらうための道もあるんだよ。それが『多摩丘陵フットパス』というものです

多摩丘陵フットパス


僕が監修に参加してNPO法人みどりのゆびが発行した多摩丘陵フットパスという冊子があるんだけど、これに歩いていいルートや見所等が書いてあるので持っていくといいと思うよ

わー、上から見た絵もあって初めて歩く人でもわかりやすいですね。これを見に行きたい! というモチベーションにもつながるし。ある意味聖地巡礼みたい

そうだね、多摩丘陵には新撰組の近藤勇らが通った道や、道場なんかもあるし、人々の歴史や文化が息づいているから、そういうファンが聖地巡礼していることも結構あるよ

近藤勇が歩いた道か、ロマンがありますね。マロンもあるといいな。あったら拾って食べたい!

クリの木もあるので、マロンももちろんあるよ! でも動植物を勝手に採取してはいけないんだ。そういうルールも多摩丘陵カントリーコードとしてきちんとこの本に書いてあるから、よく読んでから歩くようにしようね

きちんとルールが明記してあります


なるほど。里山歩きのお作法も書いてあるんですね!

基本的には、地元の人が守ってきた場所にお邪魔しているという気持ちを持って歩いてくれれば問題ないです

気に入った風景や動植物は心とカメラで楽しもう


動植物は持って帰るのはダメだけど、その場で観察したり、フットパスから写真を撮ったりするのは大丈夫なので、ぜひ豊かな自然を、ルールを守って楽しんでみてください

思い出は心に!


他にも里山歩きの楽しみ方はありますか?

昔は里山によくあったけど、今はもう絶滅危惧種に指定されてしまった植物など、季節ごとに様々に表情を変える美しい動植物達は見るだけで癒されるし、人と自然の織りなす風景は、どこを撮っても誰が撮っても写真映えするよ

ほんとですか! まるごとフリー素材みたいに使える場所ですね! 歩くのが楽しみになってきました

そうだね、まずは難しく考えずに、とにかく歩いて楽しんでみてね。でも楽しむために帽子や歩きやすい靴、水分補給などは忘れないように!

とにかく、4月から6月くらいが歩きやすい季節だから天気のいい日に遊びに行ってみなさい、と言われて早速行ってみることにしました。誰よりも癒されたいお年頃なのです。

これからはまさに里山歩きの旬!

里山に行くために、先生にアドバイスいただいた、歩きやすい服装を用意していきます。いつも最高に歩きやすい登山靴を履いているのですが、街中に疲弊したのかパカパカとゴムの部分が取れてきたので、里山歩きに適した靴を買いました。

『瞬速』です!

子どもたちに大人気の靴『瞬速』です。これさえ履けば坂道も山道もスイスイです。めちゃくちゃ履きやすくて歩きやすい。買った日は嬉しくて知り合いの小学生に早速自慢したのですが、その子はナイキを履いていました。残念。

めっちゃかっこいいのにな…

気を取り直して鶴川駅に来ました!

小田急線鶴川駅からスタートです
先生に教えていただいた冊子はこの鶴川駅の啓文堂書店さんで購入することが出来ます。まずはここで冒険の書『多摩丘陵FootPath』という冊子をゲットです。何冊か出ていますが初心者はまず『多摩丘陵FootPath1』という本を買えば間違いありません。

啓文堂書店さんで

ゲットしました!

早速散策ルートを選ぶことに。色々ありますが、先生がおすすめしてくれた『小野路宿』『小野路城』周辺のルートを今回は散策してみることにしました。

まずは5番乗り場で聖蹟桜ヶ丘行きのバスに乗って

別所というバス停で下車!

バス停を下りると、本当にここに里山があるの? という気持ちになりますが、地図に従って歩いていくと、どんどん里山があらわれます。「これこれ〜」 という気持ちでずんずん歩いていくと、なんだか空気もさわやかに香りはじめます。山と土と植物の甘い匂い!

里山があらわれた!

この先の布田道という狭い道を歩くと、気持ちいい風が吹いてきて、植物の香りがより強くなります。道が舗装されているので高齢者や子どもでも歩きやすい道です。素敵すぎて、なんども立ち止まってしまいます。

秘密の小道のような布田道へ

各所に道しるべや地図があるので、確認しながら歩くことが出来るのも安心できるポイントです。たまに野菜も販売していて、ノスタルジックを感じることができます。ジブリの世界のようです。ここにもうリアルジブリパークありました。

リアルジブリの世界

野菜の販売もしています!

フリー素材でありそうな写真が撮れる!

こんな使い方されそう

さあどんどん進みましょう

人々の生活
しばらく道沿いを歩くと何カ所か田畑が広がっている場所に出ます。そもそも丘陵とは川の流れによってきざまれた場所なので、その間にたくさんの谷を作り出します。それが谷戸と呼ばれる場所です。この谷戸は土壌もよく、水も程よくわき出して来るのでよく田んぼ等に使われてきたのです。

このような谷戸に田んぼが広がっている

綺麗に整備された道とは違い、昔から人々が歩いてきた自然の地形を利用した道なので、曲がりくねっていて先が見えないのも、わくわく感を増します。

この道の先には何があるのかなというわくわく感

菜の花畑がありました!

こんな風に使われそう

里山をしばらく行くと、山をくりぬいたような道に出ます。ここ『関谷の切り通し』は、幕末に近藤勇らが道場に行くために通っていた道と言われています。

説明書きがあり

こんなに素敵な場所が!

こんな風に使われそうだ

近藤勇気分が味わえます

植物の美しさ
人々の生活には欠かせない植物である竹も、いたる所に生えています。竹林の美しさも人々の管理がないと保たれないのです。おいしいタケノコがにょきにょき生えています。でもこれから管理するところもそれはそれで綺麗。

管理されてない所も写真映えするし

管理されている所はもっと綺麗でした

私達は成長を応援する会社です

人生の岐路に立っても、心のままに進もう

さらに里山を歩いていると美しい植物に出会うことが出来ました。かつては里山にたくさんあった『キンラン』と『ギンラン』です。長生きしそうな名前ですね。なんだか縁起がいいような気がしてきます。きちんと人が管理しているとこのような里山植物もみることが出来るのだそうです。

キンランと

ギンラン

可愛い植物はどれを撮っても絵になります

歴史を感じる小野路宿
里山から抜け出すと一旦市街地に出てきます。ここは小野路宿と言われる幕末まで宿場町があった場所です。ここにある『小島資料館』には、かつてここの道場に通っていた新撰組近藤勇や土方歳三、沖田総司など幕末の資料が展示されています。

歴史的な街並に想いを馳せる

小島資料館(東京都町田市小野路町950番地)

開館日が限られているのでご注意下さい

朝から歩いて、ここら辺に来るとちょうどお腹が鳴りますので、お昼休憩にしましょう。休憩するのにちょうどいい場所が2013年にオープンしました。それがこの『小野路宿里山交流館』です。

小野路宿里山交流館(東京都町田市小野路町888-1)

中では新鮮な地場産の野菜やおやつ、お弁当が販売されていたり、多摩丘陵の情報をゲットできたりします。また、レストランもあるのですが、施設内で持ち込みのお弁当を食べてもいいのもうれしいサービスです。

新鮮野菜や

お惣菜

おやつなどが売っている

レストランもあり、うどんや

地元農家さんの濃厚ミカンジュースなどを

味わうことができます!

私もせっかくなので持ってきたお弁当をお座敷で食べさせてもらうことにしました。そうは見えないかもしれませんが、お腹がぺこぺこで背中とくっつきそうです。

お弁当持参しました!

わっぱ弁当です!

この画像だけでごはん3杯は食べられる

いただきます

とろけるうまさ

施設内にはイベント時の体験コーナーや蔵の展示コーナーなどもあり、のんびり楽しむことが出来ます。建物も昔の旅籠を活かした造りなので、とっても素敵な空間です。働いているスタッフの方も感じがよく、話しかけると色々と多摩丘陵のことを教えてくれます。

日本家屋の美しさ

イベント時に使うスペースも用意されている

小野神社から再び里山へ
ごはんでお腹いっぱいになったら、後半は小野路城周辺の散策へ出かけます。早速、交流館横にある小野神社へ。ここには平安時代の役人であり、夜は閻魔大王の補佐をしていたという伝説のある小野篁(おののたかむら)の霊が祀られています。

大きな鳥居が目印

小野神社です

神社の横の道を行くと再び里山の風景があらわれます。なんだか景色がクルクル変わり、夢の中を歩いているようです。5時間前にみていた新宿のビル群が遠い過去のように感じます。

だってこんな景色なんだもん!

しばらく人里を歩くとスダジイの森の中に『六地蔵』があらわれます。ここも多摩丘陵の人気スポットなのではずせません。でもおかしいのです。完全におかしいことが起きています。

この違和感にお気づきだろうか

出席とりまーす

はい、完全に七人います!

本来六地蔵は「六道(地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道)」において、私達の苦しみを救ってくれるそれぞれの地蔵菩薩なのですが、ちょっとおまけでもう1体地蔵様がいらっしゃるのです。なんだかラッキーな気持ちになれるのです。

マスクをしていてプロ根性を感じます!

里山は日本人の原風景
この後も里山を満喫したり、井戸を見に行ったり里山を満喫しました。歩くと、田んぼや畑、生き物、文化的なもの、歴史的なものなどが次から次へと出てきて、飽きることがありません。歩くたびに新しい発見があるのも里山を歩く楽しみです。

森の中で鳥の声を聞いたり

生き物を探しても楽しい

山の中に急に井戸が現れたり

まるで夢の中みたいな風景が撮れます

里山なので、里に戻ればバスも電車もあり、気軽に自然散策できるのも魅力的です。皆さんもぜひ自分だけのお気に入りを探しに里山におでかけください。物語の主人公気分を味わえるし、癒されること間違いなしです。

気持ちいい一日を過ごすことが出来ました

里山を抜けたバス停近くの神社も伝説みたいだった

里山に癒されよう!

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矢野加奈子

矢野加奈子

多摩川源流大学担当のスタッフです。美味しいものと楽しいこととズゴックが大好きな平均的な人間です。 源流大学で「ちゃの」と言えば私のことです。名字の「やの」とは関係ないけど。

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